ナルラ、変遷の歴史、そして展望──。

ナルラは1980年に事業をスタートし、時代とともに変化するニーズに応えながら日本と海外を繋ぐ輸出/輸入貿易のエキスパートとして発展を続けてきました。その成り立ちや変遷の歴史、企業としての基本姿勢、今後の展開などについて、ナルラ創業者にして現在は会長を務めるソビンダー・シンと代表取締役を務めるタルミンダー・シンが語ります。

ナルラ変遷の歴史

1980年に事業をスタート。最初は国内のテキスタイルや雑貨類の輸出から。

もともとはシンガポールに本家というか本社があって。シンガポール本社は1957年創業なので、シンガポールが独立する(1965年)前のことですね。テキスタイル中心で、その後にタイや韓国、中東のドバイなどに支社を作って、日本はその後でした。基本的には、ナルラの一族ですべてを運営しています。

最初は本家にテキスタイルを供給することが主でしたけれど、どんどんと支社ごとに扱う商品の独自性が出てきて、この10年ほどで本家の機能はかなり薄れて、韓国は今は閉鎖しています。日本の後にミャンマーにも支社を作りましたけど、内戦などのいろんな問題が出てきてこちらも今は休止していて、ドバイとタイと日本はずっと稼働している状態です。

80年代、日本はバブル景気前の高度経済成長期を迎えた。

当時の日本は環境が良かったんですよね。90年代末までは成長性があって輸出国だったので、その中にいると何でも仕事が得られる時代でした。
最初はテキスタイル一本だったんですけど、90年代に入ってくると日本国内の市場も豊かになって、海外のいろんなモノが欲しいという輸入のリクエストが増えてきたので、それに対応して最初に始めたのが雑貨ですね。主に洋食器や洋陶器。最初の頃はやり方も知らずに始めて、とりあえずドイツやイタリア、スペインなどの大きなお店や展示会などをひとりで回って、コネクションを作って業界に入っていきました。

2000年代に入ると、また状況は変わっていく。

パソコンを使うことが増えてインターネットが普及してきていたので、2000年の夏に会社のネットワークやウェブサイトを起動して、ヤフーオークションなどもちょっとずつ始めました。その頃は、輸出ではインド、パキスタン、アフガニスタン向けに魔法瓶、ゴム製品、たばこなどの日本製品の窓口をしながら、逆に輸入では有名な高級ブランドの商品を日本市場に供給していましたね。

そうしているうちに、2005年くらいからは日本の代表的なアウトドアブランドのジャケットとか求められるテイストは変わっていきましたが、基本的に扱っていたのはファッション関連の雑貨。あとは食品で例えば海外で人気のミネラル・ウォーターとか。大手量販店に入れたのも、実はウチが最初だったと思います。

ミネラル・ウォーターの本格的な輸入も、ナルラが先駆だった。

ナルラロゴ

ロゴは創業時から使われている

ミネラル・ウォーターの本格的な輸入は2001~2年くらいに。売り場も作りました。でも、そういう新しいことも経験しながらも、やっていることはずっとそんなに変わっていなくて、ブランド専門会社ですね。国内の取引先は、大手量販店や全国のホームセンター、デパートまでと幅広くあります。

一方で、日本国内のいいブランドを海外に輸出する窓口の仕事もやっていて、もうひとつは日本のお客さんがウチにリクエストを出してきて、海外からその商品を取り寄せて引っ張ってくるサプライヤーの仕事も。
ナルラはいろんな役割を持っている会社です。だから、ウチの強みというと、まずはネットワークが豊富。いろんなルートやお付き合い、信頼を持っているので、そのおかげでいろんな取り引きができます。

ナルラ将来への展望

こんな時代だからこそ〝伝統〟を追ってみる。

最近は新しいトレンドを追いかけ続けるよりは、どちらかというと〝伝統〟を追求しています。トレンドは今年や来年で終わってしまいますけど、〝伝統〟は、イメージで言うと京都で300年も続いている老舗のお菓子屋さんのように、デパートなどに出店しなくても向こうからお客さんがそのお店に足を運んでくるような。そういうモノを育て、ブランドや考え方を確立しながら、それを伝統として続けていくことが大事かなと思っています。
もちろん新しいシステムやツールなどは、常に取り入れたり挑戦したりしていきますけど、会社の内容や方針に関しては基本的にそういう考え方です。

近年ナルラが特に力を入れつつある分野とは。

商品では、健康・美容・食・体験(経験)に関するものですね。健康を財産にしていけるものというか、健康食材やサプリメント、美容にいいものとか。もちろん天然のものが一番いいんだけど、一般の人はなかなかそこまではお金が出せないから、それに最も近くて、質が高いものだったらいいかなと。例えば韓国の化粧品とかね。
2020年からは、そういう健康にいいもの、長く持つもの、美容や寿命にいいものに力を入れていきます。もちろん、どこかの会社から「ある商品を輸入したい」と依頼されて、弊社が取れる時はもちろん繋ぎます。商社ですから。でも、会社として今後に普及させていきたいのは、今お話ししたゾーンです。

これまでに培ってきたネットワークや経験、信頼があってこそ、今、様々な取り引きが柔軟にできる。

徳島県副知事と

もともとインド政府などの行政の信頼を受けてきましたし、日本の行政とも仕事をしたり、商品を供給したり、予算を取ったり、入札に出たりしてきました。あとは、大使館などを通じて企業と企業のマッチングを手伝ったりも。だけど、正直なことを言うと、公益系の仕事はあまり会社のために利益を生み出さないので、あまりたくさんはできないですけど(笑)、社会貢献としてやることにしています。その活動によって、会社としての信頼は上がっていると思います。

最近の例では、ナルラが関わって徳島県がUAE(アラブ首長国連邦)の企業からワクチン接種用の注射器を購入したことは、ニュースでも取り上げられました(※リンク参照:徳島県のワクチン注射器 UAE企業から40万本購入へ [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル (asahi.com) )。
https://www.asahi.com/articles/ASP4H6WZCP4HPTLC00T.html

行政との仕事もかれこれもう10年以上やっていますが、自治体に呼ばれてプロフェッショナルな立場で商品をちゃんと納入できるところも、他の輸出入系のサプライヤーとは違うウチの強みですね。